斎藤知事の選挙に関わったPR会社がコラム公開 公職選挙法違反を指摘する声が相次ぐ
昔、東京都知事になった青島幸男氏の当選後の一言に唖然とした覚えがあります。
青島氏は、開発が進む臨海副都心地区で開催が予定されていた鈴木元都知事の肝煎りの世界都市博覧会の中止を公約に掲げ見事当選。
そして、公約通り中止を決定。
そこまではいいとして、青島氏は当選後に臨海副都心を訪れたときに、「初めてこの地を訪れた」というような発言をしたと記憶しています。
つまり、自身は全く現場のことを知らず、思いつき、受けのいいメッセージを送ってそれが大衆に受けて当選した、という事実を知り恐ろしくなりました。
都知事は大統領選と同じで都民が直接の選挙で選ぶことができます。
それに対して、国民は「日本の首相」を直接の選挙で選ぶことができません。
一長一短があると思いますが、私はこのときに直接にトップを選ぶことの問題点を感じました。
さて、そういうこともあって、今回の兵庫県の斎藤氏の当選にはもやもやが残っていますが、今回の記事を読むととても不安になりました。
参考記事:ウィキペディア
11月17日投開票の兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦知事(47)。2期目がスタートしたばかりだが、斎藤氏の選挙に関わったというPR会社社長のコラムが波紋を呼んでいる。
110万票以上を獲得して勝利した斎藤氏。SNSでの盛り上がりが勝利の後押しになったと言われており、読売新聞の出口調査によると、投票の際に最も参考にした情報として、「SNSや動画投稿サイト」をあげた人の9割弱が斎藤氏を支持したという。
そんななか、兵庫県西宮市にあるPR会社「株式会社merchu(メルチュ)」の代表取締役の折田楓氏が11月20日にブログサイトnoteで《兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に》というコラムを投稿。SNS戦略の裏側を明かした。
■波紋を呼んだコラムの内容
折田氏はまず、《きっかけ》という見出しで、《とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それが全ての始まりでした》と綴り、《兵庫県庁での複数の会議に広報PRの有識者として出席しているため、元々斎藤さんとは面識がありましたが、まさか本当に弊社オフィスにお越しくださるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです》と記した。これらの記述は22日までに削除されている。
また、同社のオフィスで打ち合わせする斎藤氏と折田氏らの写真を掲載。写真の説明には当初《merchuオフィスで「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中》と書かれていた。(22日夕方時点では《オフィスで「#さいとう元知事がんばれ」を説明中》に変更されている)
さらに《その時作成した資料を一部公開します》として《兵庫県知事選挙に向けた広報戦略のご提案
#さいとう元知事がんばれ》と書かれた表紙と、提案資料とキャプションのつけられたスライドを公開。
後に削除されたスライドには《SNS運用フェーズ》という見出しがあり、
「《10月1日~13日》を《フェーズ1:種まき》《立ち上げ・運用体制の整備》」、
「《10月14日~31日》を《フェーズ2:育成》《コンテンツ強化(質)》」、
「《11月1日~17日》を《フェーズ3:収穫》《コンテンツ強化(量)》と、
3段階にわけた表のようなものが示されていた。
資料の下には《ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました》と記されている。ただし、この文言についても現在は削除されている。
また、注目を浴びたSNS運用については、《私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました》と記していた。
そのほかにも、コピー考案やメインビジュアル作成などにおけるこだわったポイントなどを紹介。SNSの盛り上がりが話題になったことについて、《そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたいです》と感慨も露わにしていた。
■Xでは22日、《公職選挙法違反》《選挙違反》などの関連ワードがトレンド入り
しかし、このnoteに記載された内容について、Xを中心に波紋が広がることとなる。
総務省のWEBサイトには《参考 選挙運動用ウェブサイトや選挙運動用電子メールの企画立案を行う業者への報酬の支払い》として、《一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払いは買収となるおそれが高いと考えられます》との記述がある。
投稿したコラムの内容では、斎藤氏の依頼で、同社が主体的に企画を“提案”していたと読み取れるため、報酬をもらっていた場合、“買収”になるのではないかとの指摘が寄せられたのだ。Xでは22日、《公職選挙法違反》《選挙違反》などの関連ワードがトレンド入りする自体となった。
■選挙管理委員会に問い合わせると…
本件について、兵庫県の選挙管理委員会に支払いの有無について問い合わせたところ、Xで話題になっていることは把握している様子で、次のように説明した。
「今回の知事選では12月2日までに選挙にかかった費用をまとめた“収支報告書”の第1回目を提出することが決まっていますが、期限がまだ先で斎藤知事も未提出です。中身を見ていないので、支払いに対してはまだ何も把握しておらず、わかりません」
また、折田氏のプロフィールには、’21年から兵庫県地方創生戦略委員を、’22年から兵庫県eスポーツ検討会委員に任命されていると記されているほか、WEBサイトの「クライアント一覧」に兵庫県 企画部のロゴが掲載されていた。(現在は非公開)
公職選挙法第199条第1項には《衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない》と記されている。
そのため、無償で業務を請け負っていた場合でも公職選挙法違反になるのではとの指摘もXで上がっていた。選挙管理委員会は、一般論として次のように回答した。
「“禁止された寄附”の該当者になるとすれば公職選挙法違反になるかと思います。無償の場合、公職選挙法199条1項の『請負その他特別の利益を伴う契約の当事者』に、今回の方が該当するのであれば、“禁止された寄附”に当たる可能性があると思います。ただ、現時点でのこの話だけで『じゃあこれはダメですね』という判断はできません」
各メディアによると11月22日、斎藤氏の代理人弁護士は「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません。あくまでポスター制作等法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております。公職選挙法に抵触する事実はございません」とコメントしたという。
折田氏と斎藤氏の認識にはズレがあるように見受けられるがーー。
仕事の中味を暴露してはだめですよ!
兵庫県西宮市にあるPR会社の社長さんは、大満足の仕事をして誇らしかったでしょうね。
ただ、外部に漏らしてはだめですよね。
格好の宣伝材料になると思ったのでしょう。
「悪名は無名に勝る」という信奉者は、こういうことをしてしまうのかなぁ、と思ったりします。
斎藤氏の批判がどこまで本当なのかわかりませんが、仮に本当だったとして、その批判に真摯に耳を傾けて、今後素晴らしい知事としての仕事をしてくれるのであればいいのですが。
まとめ
SNSなどのネットを通じての政治活動は、諸刃の刃ですね。
インターネットを通じて投票などはもちろん技術的にはできますが、デジタルは使う人次第でどうにでもなりますので、慎重に考えないととんでもないことになりますよ!
今年のパリ五輪の「柔道団体決勝で世界中から批判集めた”疑惑のルーレット”」は、まさに、この盲点、死角,危うさを世界中の人に知らしめた出来事でした。